笠井瑞丈-アニュアルレポート2018

セッションハウス アニュアルレポート2018  笠井瑞丈

総合演出・笠井瑞丈「台湾(男女)×日本(男)×日本(女)」
作品間の交流で見つけたものは・・・

笠井瑞丈ダンスブリッジ公演

マドモアゼル・シネマは『海を渡る』という作品を上演しました。 マドモアゼル・シネマの作品に笠井・奥山が参加。我々の作品にマ ドモアゼル・シネマのダンサーが参加するという交流を行いました。 このようにお互いの作品に参加するという事はよくあることですが、出来あがっている二つの作品にブリッジ部分を足して二つの作品を一つに繋げるという試みはわたしも初めての経験でした。出来あがっている異なった二つの小説を、一つの小説にするため、新しく文章を書き加える作業です。そこで異なったふたつの物語は一つの物語に変わっていきます。

 

笠井瑞丈ダンスブリッジ公演

 最初に我々二人がマドモアゼル・シネマに参加したことについて書きます。 まずは稽古場に通いどのように作品が作られ、どのような立ち位置で我々二人がこの作品に溶け込めるかを探りました。作品に参加する事で、本来作品が持っていたメッセージや本質の部分がずれて行かないよう注意しました。二人が入る事で作品が立体的になるよう心がけました。マドモアゼル・シネマは女性だけのグールプです。そこに男性二人が入ると言うだけで作品には違う色が足されます。我々の立ち位置としては、ムー ブメントよりも作品の中に存在しているという立ち位置が一番好ま しいと考えました。歩く、見る、触る、喋る、等。  

 

次にマドモアゼル・シネマが我々の作品に参加してくれました。
1.作品と作品を繋ぐブリッジ部分 2.一人の女性の物語の踊り部分 3.中間部のユニゾンの踊り部分 4.最後エンディングの踊り部分 大まかにこの4つのパートをマドモアゼル・シネマダンサーに担っ てもらいました。  

 

1. は二つの作品の糊付けの部分、上巻から下巻。一つの小説から 次の小説に切り替わる部分。大きなページをめくるイメージ。
2. 奥山氏が書いてきた原稿をもとに、一人の男性が一人の女性に 恋をする踊り。
3. 我々の作品の中間 部にあたるシーン、こ こで初めて全員が一緒 に踊る。ここには台湾 から来ていた B.DANCE のダンサーにも参加し てもらいました。
4, 小説の最後のペー ジを閉じるシーン。

 

笠井瑞丈ダンスブリッジ公演

このように作品と作品が交流していくというのはとても面白い 試みでした。その中でダンサーは新しい自分に出会い、新しいカ ラダに出会い、新しい物語を踊る。そして近年はダンスと色々な コラボレーションが行われています。音楽や絵や映像など。右の人 左の人 隣の人 隣の国 身近なところから遠いところまで、ダン スに限らず、今後色々な交流が生まれ、素晴らしい景色が沢山生 まれていけばいいなと願っています。
小さな事ですが、ダンスも 時にはそのような方向に向き合っていく事はとても大切な事だと 今回思いました。

 

笠井瑞丈

 

 

セッションハウスアニュアルレポート2018より抜粋
写真は2018年11月24日、25日上演
東京発ダンスブリッジ・インターナショナル2018
伊藤直子版「旅は道連れ劇場」
総合演出・笠井瑞丈「台湾(男女)×日本(男)×日本(女)」

 

上写真:マドモアゼル・シネマ作品『海を渡る』
中写真:笠井瑞丈・奥山ばらば『薔薇の秘密』
下写真:B Dance company『Floating Flowers』

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