ダンスブリッジ2025 空は繋がっている ー身体ひとつで語れることが、まだこんなにあるー
2025年秋より、東京・神楽坂セッションハウスにてダンスによる国際交流プロジェクト『ダンスブリッジ2025 空は繋がっている』が始動します。
空を見上げるとそこに境界線はなく雲は自由に流れています。しかしこの空の下には分断や紛争と、人々が苦しんでいる世界の現実があります。「ダンスブリッジ2025 空は繋がっている」はダンスを通して異なる文化背景を知り、多様な感情や価値観を共有することで、”寛容であること”を模索し、現代社会における共生を探求します。
活動内容として、@韓国、日本、アメリカという「異なる文化背景」を持つダンス作品の提示、A日本のダンサー4組が「笑いという感情」に焦点をあてたダンス作品を提示。コンテンポラリーダンスを共通言語として活動する異なる文化圏で育まれたダンサーたちが、人間の感情をダンスの根源に置き、ダンスの持つ多様性、寛容性をダンス作品として提案していきます。
2025年8月
【第1弾】 日韓交流|異文化ダンス・身体の出会い
2025年9月27日(土)・28日(日)韓国との異文化交流として、日本側は女性ばかりの2舞踊団が「ボレロ」を題材に参加、それぞれの女性身体観を表現。
マドモアゼル・シネマは働く女性の日常と未来への懸け橋を、マグナム☆マダムは年齢と共に変化する女性の身体性と、それぞれの特質を生かした作品を提示。
(交換公演としてマドモアゼル・シネマは、2025年4月に韓国大邱アーツセンターからの招聘で渡韓。ユ・ホシク作品とのダブルビル公演を実施。)そして9月、韓国からユ・ホシクが代表作『Forest』を携え来日、3人の女性ダンサーが出演します。2か国の女性たちの表現の違い、共通点を模索し、「ダンスブリッジ」のテーマである、現代社会における共生を考えます。
マドモアゼル・シネマ 『ハイヒールボレロ』 振付:伊藤直子
100年後の世界に届ける“旅するダンス”
『ハイヒールボレロ』は、働く女性たちの「現在」を、ボレロのリズムにのせて描きながら、過去の記憶と未来への希望が交差する、重層的なダンスシアターです。今回は、レパートリー作品『彼女の椅子』を20分の作品としてリメイクし、日韓トリプルビル公演の一作として上演します。ボレロのシーンを“ダンスの現在”として抽出し、さらに50代から80代の特別出演者6名を“ダンスの過去”の象徴として配置。記憶・現在・未来が交錯する、新たな『ハイヒールボレロ』が誕生します。 “彼女の椅子=女性の居場所”はやがて過去となり、いつか未来へとつながっていく??そんな希望をこめたダンスの物語です。
2000年代初頭にブルガリアで本作を上演した際、国営テレビの記者から「この作品を100年後に届けたいですか」と問われました。「はい」と答えたその思いを、今回の再構成に込めています。作品中には当時ブルガリアで放映された映像を“記憶”として使用。記録も記憶もまた、“旅するダンス”として、今の舞台で新たに息づきます。
マドモアゼル・シネマ|女性達の記憶を紡ぐ“旅するダンス”
マドモアゼル・シネマは、少女期の記憶をモチーフに、身体の深層から語るダンスを創作する集団です。1993年、東京・神楽坂のセッションハウスを拠点とする劇場付舞踊団として発足。以後、“旅するダンス”をコンセプトに、国内外で作品を届け続けています。
フランス、ドイツ、ブルガリア、オーストリア、ルーマニア、ポーランド、ポルトガル、韓国、メキシコ、エチオピアなど、世界各地で公演を行い、その重心の低い躍動的な動きと、個の記憶を紡ぐ詩的な表現は、現代に息づく日本の身体性として高く評価されています。
・2008年『不思議な場所』で第63回文化庁芸術祭新人賞受賞
・2011年ポーランド・グリフィノ国際演劇祭で観客賞を受賞
・世界三大演劇祭であるシビウ国際演劇祭(2008)からの招聘、
アヴィニョン演劇祭(2013)にも参加
2025年7月にはアメリカ・サンディエゴ公演を実施。「移民」をテーマとした作品『A Woman’s Journey』は、現地の観客の心に深く響き、大きな共感を呼びました。
また振付の伊藤直子は、セッションハウスのダンス部門プロデューサーとしても年間40企画以上を実施。若手支援から国際交流まで幅広く携わり、コンテンポラリーダンスの普及と活性化に尽力しています。
マグナム☆マダム 『ニノウデボレロ』 振付:山口夏絵
年齢を祝福する、踊る賛歌
マグナム☆マダムの代表作とも言える「ニノウデ」は、年齢とともに柔らかく、たくましく変化していく“二の腕”を、愛おしく、そして力強く讃えるダンス作品です。カホンによるボレロ的なリズムが空間を包み込むなか、二の腕を盛大に揺らしながら踊るその姿には、年齢を否定するのではなく、受け入れ、楽しみ、笑い飛ばす??そんな等身大の女性たちの身体と心のリアリティが映し出されます。ポジティブなエネルギーと笑いに満ちた身体表現を通して提示されるのは、しなやかで、ゆるぎない“強さ”。「ニノウデ」は、ミドルエイジ女性たちへの人生讃歌であると同時に、性や世代を超えたすべての人へのエールでもあります。
マグナム☆マダムとは2010年、山口夏絵を中心に「社会で戦う同世代の女性たちを元気づけたい!」という想いから結成された、アラフォー・アラフィフ女性によるダンスカンパニー。2019年には彩の国さいたま芸術劇場「日本昔ばなしのダンス」で作品を発表。2020年には東京オリンピック・パラリンピックの退会式にも出演。遅咲きながらも咲き乱れ、日本が迎える超高齢化社会において“ダンサーの高齢化”という新たな可能性を力強く切り拓いています。
Designare Movement 『Forest』 振付:ユ・ホシク
仮想と現実が交錯するこの“森”
Designare Movement (デジナーレ・ムーブメント)
ユ・ホシク
振付家・芸術監督/NDA国際ダンスフェスティバル監督
現代社会は、SNSという仮想空間の中で生活し、他者と繋がりながらも、時に断絶し、非難し合う場所ともなっています。情報が無秩序に飛び交い、不条理な関係性が複雑に絡み合うその様相は、まるで深く入り組んだ“森”のようです。
ユ・ホシクの作品『Forest』は、まさにこの現代のリアリティを“森”というメタファーを通じて描き出す意欲作です。仮想と現実の境界が曖昧になっていくなかで、人間の孤独、集団心理、共感、そして分断を、身体を通して静かに、そして鋭く提示します。
本作は2024年、ポーランドで開催された「ヴァニア国際ダンスシアターフェスティバル」に正式招待され、各国の観客と批評家から高い評価を得ました。舞踊評論家カタルーニャ・ニドウルニー(ポーランド)は、「繊細で具体化された構成と、ダンサーたちの高度な身体技術によって紡がれる純粋な動きが、観る者の心を深くとらえた」と絶賛。
デジナーレ・ムーブメントとは2011年にソウルで創立された現代舞踊団体で、韓国のコンテンポラリーダンスを知らせるのに先駆けており、アジア現代舞踊家たちとの多様なコラボレーションを通じてアジア芸術に対するアイデンティティを求める作業をしています。 ユ・ホシク振付家および芸術監督は現在、NDA国際舞踊フェスティバル監督および大邱ダンスハウス院長としてシンガポールOdyssey Dance Theaterレジデンシー振付家、スペインMASDANZA審査委員を務め、世界的な現代舞踊家としての立地を固めました。
【第2弾】 日本人ダンサー交流|笑いに焦点をあてて
2025年12月6日(土)・7日(日)
不穏な社会の中で、「笑い」によって生まれる共感や寛容さをテーマにした4作品を上演。
コンテンポラリーダンスの枠を超え、ユーモアから人間性を照らし出す挑戦。
『東京パレード』 振付・出演:笠井瑞丈、伊藤千枝子
『シスター』 振付:望月崇博/出演:望月崇博・竹内春香
『アイコニック』 振付・出演:岡本優・北尾亘
『1mmのポリシー』 振付:大西彩瑛/出演:大西彩瑛・村井玲美・田花遥
【第3弾】日米交流|異文化ダンス・記憶の出会い
2026年3月28日(土)・29日(日)
米国のダンスカンパニーを招聘。2025年渡米、サンディエゴダンスシアターと交流してきたマドモアゼル・シネマと、子供時代を海外で過ごした近藤良平が共演。記憶と現在を繋ぐダンスの対話が展開。
『女は旅である』振付:伊藤直子(マドモアゼル・シネマ)
『僕のヒーロー』振付・出演:近藤良平
『Currents』振付:マシュー・アームストロング、テリー・ウィルソン(サンディエゴ・ダンス・シアター)
公演概要
日程:
第1弾:2025年 9月27日(土)19:00/28日(日)13:00・17:00
第2弾:2025年 12月6日(土)19:00/7日(日)13:00・17:00
第3弾:2026年 3月28日(土)19:00/29日(日)13:00・17:00
会場:セッションハウス(東京・神楽坂)
料金(税込):
一般前売3,500円/学生3,000円/小中学生2,000円/当日券4,000円
通し券(3企画公演セット):9,000円
コロナ後初の海外作品を観客に体験して貰うために以下の施策を行います。
対話セッション
公演後に振付家やダンサーと直接対話できる機会を設け、作品への理解を深めてもらい、共感の場を今後に繋ぎます。
SNSでの広報
X、Instagram、Facebook等を活用し、公演の裏側やリハーサル風景を紹介し、ダンサーや作品に対する親近感を高めます。
オンライン配信
公演のライブ配信や、アーカイブ映像の配信で、地理的に遠い場所からでも観劇できる機会を増やします。
スタッフ
照明:石関美穂/音響:上田道崇/舞台監督:鍋島峻介/美術:くに若尾
衣裳:原田松野/記録映像・配信:原綾香・鍋島峻介/記録写真:伊藤孝
宣伝デザイン:石関美穂/宣伝映像:秋元麻友子/制作:伊藤孝・鈴木加奈子
お問い合わせ・取材申込
セッションハウス
〒162-0805 東京都新宿区矢来町158
Web: https://session-house.net
Mail: info@session-house.netTEL: 03-3266-0461(担当:伊藤/鈴木)
ご掲載・ご取材をご検討いただけますと幸いです。文化の交差点・神楽坂から、世界と“繋がる”ダンスの風をお届けします。