笠井瑞丈『コロナ禍で踊った2つの作品』

ヴォイス・オブ・セッションハウス2021 笠井瑞丈

 初舞台をセッションハウスで実施してくれて以来、毎年いくつもの企画を実施している笠井瑞丈さんが、コロナ禍でこの1年、縷々考えてきたことを語ってくれました。

笠井瑞丈『コロナ禍で踊った2つの作品』

 

 セッションハウスに出入りして20年以上、もう思い出せないくらいの作品をここで発表させてもらいました。そして同時にたくさんの出会いを作ってくれた場所でもありました。
そしてその中でも近藤良平さんとの出会は私にとってはやはり大きなものです。初めて一緒に踊った舞台が、もうこれも20年前くらいだと思いますが、セッションハウスの企画で、今はオランダで活躍していて、コンドルズのメンバーでもあった楠田健造さんと近藤良平さんの三人で踊ったのが初めてだと思います。作品と共にダンサーは成長し作品も進化するのです。またこの作品と共に旅ができたらと思います。

 

 そしてもう一つ去年9月に行った笠井家の公演について書きます。これは二年前に行った笠井家公演の2回目の公演となります。第一回目はコロナという未知のウイルスとの遭遇、それに対してカラダの在り方をどのように探ればいいのかというのがテーマでしたが、2回目はいまだ出口の見えない世界に対して、どのようにダンスの作品をこの混乱した世の中に提示するかをテーマにしました。コロナという問題が起き、劇場公演もオンラインが導入され、今までとは違う形態に少しずつ変化して来ています。そしてセッションハウスもいち早くオンラインの公演を導入しました。最初は慣れないところから、スタッフが一丸となって一つのシステムを作り上げました。そんな意味でも変化のある二年目です。作品構成はモーツァルトのレクイエムの後半部そしてモンポー シベリウス、それに合わせて母笠井久子の朗読、そして兄笠井爾示の写真をプロジェクターで投影しました。バッハのシャコンヌ。シャコンヌは完全オイリュトミーで行いました。フォルムを笠井叡に作ってもらいました。そしてこの 15 分近くある曲を兄笠井禮示とのデュオで踊りました、とても長い曲で構成も複雑なので大変な作業でしたが、音楽を一つ一つ解析して、フォルムに当てはめ、動きを作っていきました。上村なおかと浅見裕子には二人でシベリウスのデュオを作ってもらいました。困難な時こそ、私たちはそれを克服しなければいけません。そしてカラダというものはその力を持っていると信じています。隣の人から力を借り、そしてまたその隣の隣の人に力を分ける。作品がそのように広がっていくのだと思います。

 

笠井瑞丈

ヴォイス・オブ・セッションハウス2021より抜粋

 

笠井瑞丈

リンゴ企画 近藤良平「百年大作戦」近藤良平とのデュオ

笠井瑞丈

ダンスブリッジ「霧の彼方へ」

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