尾本安代 「白鳥」を踊って Voice of Omoto Yasuyo

尾本安代 「白鳥」を踊って Voice of Omoto Yasuyo

谷桃子バレエ団の中心的メンバーとして活躍し、1991年のセッションハウスの創設以来、バレエ・クラスを主宰してきた尾本安代が昨年久々にセッションハウスと横浜の舞台に立ち、「ダンス・ブリッジ」で「白鳥の歌」と題してソロ・ダンスを披露しました。

 

尾本安代

 

尾本安代 「白鳥」を踊って Voice of Omoto Yasuyo

 

「ダンス・ブリッジ」で『白鳥』をテーマに何か踊ってみませんか?と伊藤直子さんから提案頂き本番を迎えるまでに1年の月日が流れました。どのような作品を創るのか、なかなかアイディアは浮かばず、若手コンテンポラリー振付家として活躍している苫野美亜さんに相談しました。この数年間に苫野作品を何度か見る機会があり、毎回その作品の世界感に惹かれていたからです。

 

2022年は1972年に谷桃子バレエ団に入団し舞台活動を始めて50年目の節目なので何か今の自分に出来るダンス表現をやりたいと強い想いがありました。でも10年ほど前に脊柱管狭窄症になり回復して来てはいるものの身体表現をするのに心は踊っていても動けるテクニックは限られている状態が現実にはありました。苫野さんとのディスカッションの時間を経て作品のための映像を撮影に夏の終わり頃、神奈川県三浦半島の海岸に行きました。その絶景の海辺に立った時、エネルギーを貰えた気がしました。そして12月3日の本番までに映像、衣裳、照明、音楽など様々なアイディアが結集し形となり『白鳥の歌』は創られました。セッションハウスの地下スタジオで踊る時は他の場所とは違う独特な空気感を感じます。『白鳥』をテーマに踊った坂井美乃里さん、マグナム・マダムの皆さんと『3つの白鳥』が揃い本番2日間の楽屋ではそれぞれに緊張感もありながらバレエ談義も楽しい時間を過ごせました。

 

そして、このセッションハウスでの公演後、暮も押し迫った12月29日に再び「苫野美亜プロデュース公演」『mid/point』と題したDANCE Performance LIVEで『白鳥の歌』を踊る機会を得ました。会場は横浜ランドマークホール。観客との一体感を感じられる密なセッションハウス地下スタジオとは対照的な何倍もの広さの空間でした。そして観客席は固定席ではなくそれぞれ会場のセンター、壁際、黒幕があるスペースへと移動しながらの周遊型鑑賞スタイル。この公演では『白鳥の歌』の前に若手コンテンポラリーダンサーや舞踏家の方と音楽家の方達も入った2つの作品があり、私が着ている衣裳の黒いワンピースから繋がっているスカートを前作品のダンサー達が持ち床いっぱいに広げるところから3作品目が始まりました。

 

両方の公演を観て下さった方からは同じ作品だけれど少し違う印象を受けたとの感想を頂きました。再演では空間の違いには多少の意識はありましたが同じ心地良い緊張感を感じて踊っていました。自分では無意識でも踊る度に心は違う感覚を捉え、新しい発見をしているのかも知れません。今回この作品を踊らせて頂き、企画から作品創りに関わって下さった全ての皆様に、そして観客席で同じ空間を共有して下さった皆様、配信を見て下さった皆様に心より感謝しています。

 

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