望月崇博『先生ショナルズからのギフト』

先生ショナルズからのギフト

学校で子供たちにダンスを教えている先生たちが集まり2025年1月に「先生ショナルズ」と称するダンス・カンパニーを立ち上げ公演をしましたが、26年1月には15人の先生が参加して2回目となる公演を行いダンスすることの楽しさを伝える舞台となりました。この公演に籠めた想いを主宰した望月崇博がこの企画に込めた想いを語ります。

 

トップスター 望月崇博

 

2025年1月に世界的にも類を見ない珍しい団体がセッションハウスにて産声を上げました(2025年1月初演)。名は『先生ショナルズ』。メンバー全員が現役小学校教員、保育士という、言わば人前に出ることを日常としている「先生」が、非日常の舞台で全てを曝け出す先生賛美的挑戦系ダンス集団です。「先生が踊れば子供も踊る、子供が踊れば未来も踊る!」をコンセプトに教育から舞台芸術の未来を育てることを目指しています。と、、、ここまで書きましたが僕、望月が主宰する団体です(恐縮です。)。

 

団体設立の発端はそこから1年前(2024年1月)に遡ります。僕の舞台を見にきた人たち(現先生ショナルズメンバー)との酒席で「俺たちも表現してみたいなあ(舞台出てみたいなあ)・・・。」と呟いたやつがいました。ちょうどその当時、小学校教員対象の表現の研修会(体育科表現領域の研修会)をどうにかしたいなあと思っていた僕(舞踊研究家で大学教員)は、先の言葉を聞いた瞬間に「キターーーーー!!」と思ったわけです。というのは表現の研修会に講師で行くと子供達へどうやって身体表現を教えたら良いかをみんなが考え、教材研究などをします。ただその先生たちが踊ることを理解していなく(抵抗ももちろんあり)、机上の空論のような議論が交わされている風景を何度も見てきました。だったら、、だったら舞台で踊らせちゃった方が手っ取り早いじゃないか!!と。というわけで「現場で教える先生が、まず身体表現の根幹、身体交流を体験しよう!!舞台に出ちゃおう!!」というところが始まりでした。

 

2024年11月から踊ることを知らない先生たちとの稽古がスタートしました。僕が振付を作り、振り渡しをする場面でも何度見本を見せてもわからないわけです。ですので動き一つ一つに言葉を添えて伝えていきました。そんなことを何度か繰り返すうちに、ふと「僕が振付しない方がいいのではないか」と思い始め、メンバーに創らせる方法にシフトしていきました。するとみるみるうちに生き生きとしたオリジナルのダンスが立ち上がってきて作品創りは一気に加速していきました。子供の運動遊び指導でもそうですが何かを指導してやらせようとするとうまくいかないんですね。一番大事なのは少しの介入と、より楽しくするためのアドバイス、これに尽きます。先生たちのダンス創作も同様でした。

 

結果、2025年1月の『SHIKI〜ハル』と2026年1月の『SHIKI〜ナツ〜』はセッションハウスのコロナ禍後の集客では初の全回超満員を達成!!来年の1月にもすでに『SHIKI〜アキ〜』を上演予定です。それだけにあらず、保育士・小学校教員を対象にした無料のワークショップ(タダdeダンス)の開催や学校公演も行っていく予定です。

 

ここからは僕の考えるダンスの懸念点ですが、構成を綺麗にまとめることや身体的テクニックを尽くすこと、社会的メッセージを盛り込むことなど、作品創作が目的化してしまっているような印象を受けます。もちろんそれは大事なことだとは思うのですが「人」が軽薄化されているのではないだろうか。誰かに自分の身体を使って表現する、伝えるという力、根元にあるエネルギー、これがダンス本来のあるべき姿のような気がします。先生ショナルズの面々は毎日子供に伝えることが当たり前の仕事をしているのでその訓練が必要なく、尚且つそれぞれの子供へのアプローチが違うのでメンバー各々に勝手に「人」が出てきてクスクスしてしまいます。保育士・先生たちだからこそ出せる「表現の旨み」のようなものですか。日々子どもたちと対峙し、心を揺らし、子どもの成長のために力を尽くしているから、自分の願いや現在の社会で生きる子どもたちへの不安や懸念があるから、何かを伝えたいという想いがあり、そして「伝わった!!」という至上の喜びを知っているから観客1人1人の反応に「一喜一憂」するのです。

 

人に感嘆を与えるような大ジャンプ、見たこともないような奇抜な動きはもちろんダンスのテクニックではありますが、このように「身体を拓いて伝える力」もダンスのテクニックではないでしょうか。このダンスの、表現のテクニックに気づくか気づかないか。「人」が消えたダンス作品はどこか寂しく、切なくなります。今(現代)だからこそ取り組むべきダンス界の課題のような気がしてなりません。この先生ショナルズの活動を通してこれまでのモヤモヤが輪郭を帯びたような気がします。

 

さてみなさん、我々は全身全霊(前進全霊)教育から舞台芸術を貫く覚悟です。共に拓きましょう!!

 

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