セッションハウス・アワード2015

セッションハウス・アワード ダンス花2015

セッションハウス・アワード2015
観客賞 DEBEDEBE☆1号『ewig』
奨励賞 tantan『生きるために食う。』に決定しました。

“2015年「ダンス花・アワード」受賞者発表”
今回のアワードでは、たくさんの刺激を受けました。 コンテンポラリーという不可解な分野を軽く飛び越える試みがあったと思います。
その時代の「作品」、今だからこそ創り上げた「作品」である!という確信的なもの。 または持続して心に残る要素を持ったもの。あるいは全く残らないもの。 「作品を創るあげるぞ」というモチベーションも大事だなとつくづく思いました。
今回は、その中で作品の完成度と観客との距離感がよかった「DEBEDEBE☆1号」(振付星原泉)『ewig』に観客賞。 この時代に共鳴して果敢に立ち向かった「tantan」(振付亀頭可奈恵)『生きるために食う。』を奨励賞に選びました。 セッションハウスから発信していく作品たち、ダンスを、これからも色んなカタチで観続けて行きたいと思います。

−近藤良平

 

選出にあたって
一瞬一瞬をつなぐ大量なステップと決まり事を、どうすると絵になるのかではなく、それをするわけをダンサーの体からくみ取りながら観ました。どの作品にも創意工夫がみられ、それぞれ輝きがありましたけれど、ベスト賞として抜きん出る一本を選出するには残念ながら至りませんでした。その中にあって2つの群舞作品が観客賞と奨励賞に輝きました。ムーブメントの素材の選び方、その形を組み立てて時間を運ばせていく感性。観客賞の星原泉チームにおいては、複合的な動きを音楽的に配列させるセンスにも秀でていました。また、コンセプトにそった衣装、曲調で枠組を整え、群舞を踊りきるダンサーの理解力も得、まとめあげた力においては両グループの到達点の高さに驚かされました。
大きなコントラバスを持ち上げて電車に乗り込んで稽古に向かう演奏家を見かけます。そんな毎日の運搬の労力にその奏者の奏でる音をみます。ダンサーの体から読みとれることが沢山あります。限りある条件、筋書きや構成に負けない気力体力をたくわえて創意を伝えるべく、挑み続けていってほしいと思います。

−松本大樹

 

DEBEDEBE☆1号

観客賞
DEBEDEBE☆1号
『ewig』


プロフィール
2007 年に星原泉が主宰するダンスユニット“DEBEDEBE★company”を立ち上げ、定期的な公演活動を行う。独自の世界観で一つの物語を創り上げる。 2014 年には、セッションハウス企画「カトルカール」にも参加。2013 年からは若手中心のチーム“DEBEDEBE☆1 号”としてもセッションハウスで作品を出している。

 

振付:星原泉
出演:小野聡美、芝田美花、下西春奈、ノグチミオ。、長谷川大、安田みつる、星原泉

 

tantan

奨励賞
tantan
『生きるために食う。』


プロフィール
2014年にまとまりの無い人で集まった。2015年4月、セッションハウスにて単独公演「指切った。」を上演。tantanのtwitter: twitter@_t_a_n_t_a_n_

 

振付・構成:亀頭可奈恵
出演:阿部真理亜、岡安夏音子、亀頭可奈恵、佐々木萌衣、 田端春花、吉田圭

 

選出にあたって―伊藤直子

選出することはいつも難しく、困難な作業です。選出は最終的には三人の協議となりますが、観客票、スタッフ票、レビュアーの意見なども参考に進めていきます。原則的には“もう一度見たい”再演企画ですが、新作での参加が多く、ステップアップの確認ができにくかったのは残念な気がしました。参加作品はソロ、デュオ、群舞ともに独創的なものが多く優劣がつけがたく、今年は構成力、作品力のある群舞2作品への受賞提案となりました。
コンテンポラリーダンスは特異なダンスというイメージがあり、評価も高い風潮の中で選者が三人ともDEBEDEBE☆1号に興味を寄せたのは、テクニックに支えられたエンターテイメント性には、見るものを楽しませるダンスの魅力、説得力があるからです。
コンテンポラリーダンスの現状は、残念ながら観客アンケート等も「分からない」という言葉が多く見られます。ダンスの抽象性は魅力の一つではあるけれど、それぞれの振付家がそこを突破し共感しあう手法が必要だと考えます。わかりやすい物語や説明ではなく、きっとそれぞれの方法があるはずです。

 

奨励賞のtantanは今回、前回の特異性が突出した作風から“なぜ踊るのか”の本質と向き合い、美術、言葉、動きの提示で観客に想像する余地を与えました。 コンテンポラリーダンスの歴史も20年を超え、モダンダンスとの共存や、異ジャンルとの融合を経て、いま新たな「からだ感覚」の提示が始まっているように感じます。 それぞれの突破の兆しや意欲を十分に感じた2015年の「ダンス花」10作品でした。これからも独創的なダンスを創り“分からない”に挑戦しながら、ダンスを届けてくださるのを楽しみにしています。今回は勇気ある挑戦ありがとうございました。

 

1作品ごとの審査員とレビュアー所感はお一人ずつに送らせていただきました。
ものを創り続ける人間は、誰に何を言われても自分の道を信じていくしかありません。
これからもダンスという地平をともに進んでいければ本当にうれしいです。

 

2015年の「ダンス花アワード」基本情報

参加作品
2月公演
外園彩織『Pink tea』
歌川翔太 中村駿『カラダモアソブ』
久保澄恵 重松悠希 『シュガー アンド スパイス』
山本和馬『社会が果たして、立場の拮抗に対して寛容であるかを知るがため。』
大西唯香『いとしやかなしや。』

 

9月公演
高橋志帆『青い鳥』
米田沙織(Baobab)× 柴田菜々子(TABATHA)『Me +』
デルトーカ『醒めるほどに舞い堕ちる Hidden in Frequency』
DEBEDEBE☆1号『ewig』
tantan『生きるために食う。』

 

審査員
伊藤直子(振付家・プログラム監修)・近藤良平(振付家・ダンサー)・松本大樹(振付家・ダンサー)

 

レビュアー
中野優子(東京大学大学院)、木場裕紀(東京大学大学院)

 

過去のセッションハウス・アワード受賞ダンサー

セッションハウス・アワード2012

第1回セッションベスト賞 中村蓉 『別れの詩』

 

セッションハウス・アワード2013

第2回セッションベスト賞 小暮香帆 『涙の球体』
セッション奨励賞 望月崇博

 

セッションハウス・アワード2014

第3回セッションベスト賞鈴木竜 『Agnus』

 

セッションハウス・アワード2015

観客賞 DEBEDEBE☆1号『ewig』
奨励賞 tantan『生きるために食う。』

 

セッションハウス・アワード2016

審査員賞 松本武士『―doko―』
観客賞 五十嵐結也『さよならともぢくん』

 

セッションハウス・アワード2017

セッションベスト賞 スッポンザル(小林利那・藤島美乃里)『鼈』

 

セッションハウス・アワード2018

チャレンジ賞 江上真子『Juliet』
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