ヴォイス・オブ・セッションハウス2023
セッションハウスが創設されたのは 1991 年だが、コロナ禍の騒ぎの中で記念事業も出来ないままで 30 周年を過ぎてしまった。しかし、コロナ禍で観客数を限定する一方で公演の模様をオンラインで配信するなどの工夫をこらして公演活動を実施してきた。 2023 年、コロナ禍の嵐が下火になるにつれて舞台でのダンスを見る観客数も戻り始め、数多くの公演が実施された。
公募公演の「シアター 21 フェス」は「U25」や「U35」という年齢制限によるものを含めて 130 回を越えるに至った。その中からもう一度見たいという作品を集めた「ダンス花」も春に行われ、久しく途絶えていた海外からの招待として韓国から 2 名のダンサーを招くことが出来たのは、喜ばしいことだった。また女性振付家 4 名による公演「アカイクツ」も春と秋に 2 回おこなわれたし、ダンサーの単独自主公演を支援する「D-zone」フェスティバルも数多く行われた。大学生による「UDC」も例年のようにバトンタッチして実施された。さらに毎年実施してきた近藤良平主宰の「リンゴ企画」も2月に行われ、音楽家、落語家、サーカス、新体操、書道家が参加して賑やかに行われた。
ところで2023年は、セッションハウスの劇場直属のカンパニーのマドモアゼル・シネマが30周年を迎え、慶應大学大学院メディア・デザイン学科と共同して、ダンサーと観客の生体反応を試みる実験的な公演「Boiling Mind」を実施すると共に、2023年9月から2024年3月にかけて「ダンスブリッジ・明日に架ける橋」と題して、マドに加えてさまざまなジャンルのアーティストと共演する公演を継続実施している。その中には地元神楽坂との関係を生かして女義太夫と共演する企画も敢行された。
以上の公演活動にさまざまな形で関わってくれた人たちの声を聞いていただきたいと願っている。
(記:セッションハウス企画室・伊藤孝)