ヴォイス・オブ・セッションハウス2024

ヴォイス・オブ・セッションハウス2024

1960年頃に「越境者」というタイトルのイタリア映画があったが、その内容は失業したシチリアの鉱山労働者たちが職を求めてフランスとの国境を越えるシリアスなストーリーのものです。しかし、私はその内容は別として「越境」という言葉に魅かれ続けてきたことが潜在意識にあったようで、セッションハウスで実施してきたダンス公演の多くにジャンルや発想のさまざま、表現する方法など境界線を越え交錯したものがあるような印象を持っています。
 昨年の2024年度も国境を越えて韓国と日本のダンサーが交流する企画も軌道に乗ってきましたし、日本舞踊の坂東扇菊(以下敬称略)がバレエやコンテンポラリーのダンサーを大勢起用して独特の舞台を創り出したように、コンドルズの近藤良平、石渕聡、マドモアゼル・シネマの伊藤直子、天使館の笠井瑞丈、トップスターの望月崇博らが、企画・構成・振付などを担って多くのダンサーやミュージシャンが舞台を共にすることを数多く実施してきました。その方たちにやってきてきたことの意味や成果を書いていただいたので、ご一読下さい。
また、舞台の照明を長年担当してきた石関美穂からスタッフの立場から見た舞台感を寄稿してもらうと共に、2012年から2階のギャラリーで福島原発の問題を考えるトークの会を主宰している渡辺一枝から寄稿をしていただいたので、併せ読んでいただけたらと願っています。

 

 

(記:セッションハウス企画室・伊藤孝)

 

小川麻子

「アカイクツ」小川麻子

近藤良平

近藤良平「リンゴ企画」

ヴォイス・オブ・セッションハウス2024-神楽坂セッションハウス記事一覧

1991年以来セッションハウスのダンス・プログラムの監修と劇場専属のマドモアゼル・シネマを主宰してきた伊藤直子が、2024年度のダンス企画に籠めてきた想いと成果を語ります。伊藤直子『体制が少し整ってきました』1991年に出来た「セッションハウス」は今年34歳!ダンサーなら「ダンス花」!今が旬といえましょう!そしてこれからの活動を考える時期でもあります。そのダンス花で久しぶりに「ベスト賞」「韓国ND...

セッションハウスで日本舞踊を指導している坂東扇菊がダンスの境界を越えて、日本舞踊やバレエ、コンテンポラリーのダンサー達15人がそれぞれの持ち味を生かして登場する舞台を創り出し、高い評価を得る公演となりました。日本舞踊の越境旅 坂東扇菊日本舞踊の越境旅 坂東扇菊 多ジャンルのダンスの融合する坂東扇菊版『蝶々夫人』プロジェクトは、セッションハウス企画室主催の「ダンスブリッジ」公演の一環として行われまし...

2024年の最後の公演となった「ダンスブリッジ・トーキョーの阿国」で音楽隊を担った石渕聡が、ダンスとの協業の成果とその意義を分析した一文を寄稿してくれました。「トーキョーの阿国」におけるダンスと音楽の協業大東文化大学教授 石渕聡12月に行われた『トーキョーの阿国』(振付・演出:伊藤直子)は、そのクリエイションの段階から、何か日本のどこかの地域のお祭りのような得体の知れないエネルギーを呈していた。キ...

長年海外を含む多くの舞台で踊り続けてきた笠井瑞丈が、昨年はセッションハウスで「ダンス・ブリッジ〜トーキョーの阿国」に出演したりしてきましたが、今年は以前もやったようにナイト・セッションで多くのダンサーとベートーベンの交響曲第9番全曲を踊ることに挑戦します。その心意気を書いてくれました。第九交響曲を踊る1年を目指して 一般社団法人セッションハウス企画室理事笠井瑞丈2025年です。毎年書かせて貰ってま...

セッションハウスで毎年「ダンスブリッジ」や「ダンス花」「シアター21フェスU25/U35」などで公演後に「メール感想会」を開くなど、作品の捉え方を研究分析する一方で、ダンサーとしても「ダンス花受賞者公演」や「ダンスブリッジ・トーキョーの阿国」などに出演してきましたが、作品を創り踊ることに籠めた想いを自在に語ってくれました。『道化とダンス』トップスター望月崇博書き出しから私ごとで恐縮なのですが、私に...

近藤良平はさいたま芸術劇場の舞台監督を務めながら、コンドルズなど各地で八面六臂のダンス活動をしていますが、セッションハウスでも30年近く前から多くの企画に参加し続けてきました。今年の新年早々には2024年度の最後のダンスブリッジで、5人のダンサーと共にRKこと近藤良平自らの世界を踊る企画で楽しまさせてくれました。題して「Another side of RK」。自ら公演当日のプログラムに書いた言葉と...

当然のことですが、ダンスの舞台も照明や音響、舞台監督から映像、受付などのスタッフがいて成り立つものです。長年セッションハウスで照明を担当してしている石関美穂から絵画との関係からか考えたユニークな声が届きました。『これはなんでしょう』 石関美穂私は神楽坂セッションハウスでダンス中心にいろんな公演の照明を1997年から担当しています。明かりについて思うことをお伝えしようと思います。照明の仕事は「明かり...

2011年3月11日に東日本を襲った大震災と福島原発の事故の1年後から作家の渡辺一枝さんが開いてきたトークの会「福島の声を聞こう」は昨年も3回開催されましたが、今もなお帰還困難区域があるように放射能汚染の恐れが続いています。その会を主宰している渡辺一枝さんの声をお聞き下さい。『原発事故から14年、福島の今』 渡辺一枝2011年3月に東京電力福島第一発電所が爆発事故を起こしてから、14年が経つ。当初...

セッションハウスの2【ガーデン】では、2024年も自主及び共同・協力企画のほか、レンタルの展覧会、トークの会、朗読会、クロッキー会などの活動の場となりました。自主及び共同・協力企画の軌跡2月10日〜11日  早稲田大学書道会平成22年度卒会同人展2月19日〜23日  わわわ俳句展(T)3月27日〜4月7日 ツーゼ・マイヤー展「The World Is Shining」5月17日〜23日  佐川公則...

2024年 ダンスプログラムの軌跡1月20日1月27・28日シアター21フェスvol.131(1回公演)マグナム・マダム「This is life」(3回公演)振付・演出:山口夏絵 出演:Violet、田中洋平、藤井淳水、国枝昌人、濱地真実、望月崇博、歌川椎子、小川圭子、まつい綾、宮内愛、山口夏絵 2月11・12日2月17日2月24日リンゴ企画「コンド―さんを待ちながら」(3回公演)振付・構成・演...

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